■どうして醍醐にコミュニティバスが必要とされたのでしょうか?
1.身近なバスを
醍醐地区は、1997年に京都市営地下鉄東西線開業後、京都市中心部への利便性は大きく向上しましたが、それに伴って市バスが撤退し、地区内の移動はかえって不便になっていました。また、駅やバス停から離れた山沿いの坂の上に多くの公営団地が立地し、進む高齢化の流れのなかでバス停まで歩いて往復が大変な状況でした。住宅地や団地に近いところを通るバスが必要でした。
2.通院や買い物の手段を
既存のバス路線は、地区外への移動には貴重な路線ですが、地域を縦貫する3本の幹線道路しか走っておらず、地区内の病院や公共施設にアクセスするための公共交通手段がありませんでした。
3.観光にも便利なバスを
醍醐地区は、世界遺産にも指定されている醍醐寺があり観光客にとっても魅力のある地域ですが、醍醐駅と醍醐寺を結ぶバスは大きく迂回しているうえ、運行本数も少ないため、多くの人は徒歩でのアクセスを強いられていました。
このように、既存バスが運行されていない住宅地および団地と、地区内の鉄道駅・主要バス停・公共施設・商業施設・病院等を結び、買い物や通院などの足としての役割を担うコミュニティバスを、ぜひ走らせて欲しいという大多数の声が地域住民の間から沸々とわきあがってきている状況でした。
■醍醐コミュニティバスの役割と意義
1.真に「コミュニティ」のためのバスシステムに
コミュニティバスは、単なる交通システムではなく、様々な市民活動の掛け橋となるものです。(図)
高齢者の活動機会の増大、通院の不便さの解消、買い物の便の確保、児童・生徒の図書館・プール等の便など地区の住民(特に弱い立場の住民)の社会生活の基盤となることを目的としています。
2.これまでの公共交通とは異なるニーズに対応
主に日中の通院や買い物の便を考えた路線やダイヤになるように考慮しました。また、狭い道路にも入り、バス停間隔を短くして、できるだけ自宅の近くから乗れるようにしました。
3.地域全体をカバーしたネットワークに
坂の上の団地、病院、小さな商店の集まったところなど、既存バスでカバーできないところもカバーするものです。また、各所で既存の公共交通(バス・地下鉄)に乗り換えられるシステムです。
4.気楽に乗れる運賃体系に
できるだけ低料金が利用者にとって良いことであることはいうまでもありません。ただ、安くした分だけ乗客が増えなければ、経費は誰かが負担しなければいけないのです。1カ月乗り放題券や1日乗り放題券など、たくさん利用する人ほど安くなる仕組みを検討した結果、「一日乗車券」(300円)を導入しました。生活利用では、自宅一武田総合病院一大型商業施設(パセオダイゴロー)一自宅、観光利用では地下鉄醍醐駅前一醍醐寺一随心院一地下鉄醍醐駅というように一日3回利用すれば1回当たり100円とお得で、実際とてもよく利用されており、地域の回遊性を高めています。
5.コミュニティを活かした市民本位・市民参加の仕組みづくりにつながることが重要です
みんなのバスですから、時刻表やマップの作成、バスやバス停のデザインなど、様々な面で市民の参加を図りました。コミュニティ活動やボランティア活動などとの連携も進んできています。商店街、商業施設、地域と連携した様々なイベントや取組みも車内で広報しています。バスの時刻に合わせた催しの実施なども地域では行われるようになっています。
【路線設定ダイヤの考え方・特徴】
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5万4千人の住む醍醐地域(10の小学校区を含む)をカバーする4路線1日約170便の本格的なバスネットワークです。
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完全パターンダイヤ(毎時同じ時間に運行)
1時間、30分、20分間隔、わかりやすい 乗り換えパターンも一定。
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全路線が地区の中心である公共施設も集まっている地下鉄醍醐駅・パセオダイゴローを中心としたネットワークです。
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病院への足を担うことを重視し、地区内の中核病院である武田総合病院も1つのターミナルにしました。地域全体から武田総合病院へのアクセス性を向上させました。
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醍醐寺・随心院方面に関しては、観光客の利用も想定したルートとしました。特に、世界遺産「醍醐寺」への醍醐駅からのアクセス性は飛躍的に向上しました。
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幹線道路を主体として運行されている従来のバスに対して、住宅街をきめ細かく運行するバスサービスを提供し(ペネトレーション(penetration)=浸透と呼びます)、あまり歩かなくてもバス停まで辿り着けて、高齢者など交通弱者の公共交通の利便性を高めました。
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始発時刻は、病院の受付開始時(午前8時前)を考慮しました。終発は通院・買物利用がほぼ終了すると考えられる午後7時30分頃に設定しました。
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醍醐コミュニティバスロゴの由来
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